常居じやうゐ)” の例文
少年の頃ある夜常居じやうゐより立ちて便所に行かんとして茶の間に入りしに、座敷との境に人立てり。かすかに茫としてはあれど、衣類のしまも眼鼻もよく見え、髪をば垂れたり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
何の書物をも見ず、頼みに来たる人と世間話をなし、その中にふと立ちて常居じやうゐの中をあちこちとあるき出すと思ふほどに、その人の顔は少しも見ずして心に浮かびたることをいふなり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)