川添かわぞい)” の例文
町の場末から、橋を一つ渡って、山のふもとを、五町ばかり川添かわぞいに、途中、家のない処をくので、雪にはいうまでもなくうずもれる。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
万物の姿が目に見えるおだやかな薄明が訪れる頃には、彼等はこの川添かわぞいの小村の橋や屋根の下に来ていた。
そうするとまたそろそろと勇気いきおいが出て来て、家を出てから一里足らずは笛吹川の川添かわぞいを上って、それから右手の嶺通みねどおりの腰をだんだんと「なぞえ」に上りきれば、そこが甲州武州ぶしゅうの境で
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
邸中やしきじゅうが浜の別荘へ来てじゃに就いて、その先生様も見えられたが、この川添かわぞいの小橋のきわのの、あしの中へ立てさっしゃる事になって、今日はや奥さまがの、この切通しのがけを越えて
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)