岳父がくふ)” の例文
その後沼南昵近のものにくと、なるほど、抵当に入ってるのはホントウだが、これを抵当に取った債権者というは岳父がくふであったそうだ。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「十字架上のキリストの如く、リストは彼自身よりも、むしろ他の人を救うために、いつも準備をしていた」とその岳父がくふの人格をたたえている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
このさい大臣、かの梁中書には岳父がくふにあたるひとである。つまり中書夫人の実父なのだ。——当然、わたくしの情愛と心痛もある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実朝さねともの歌を多く取ったのは別として、泰時やすとき重時しげとき政村まさむらなどは関東の意をんだので、蓮生坊宇都宮頼綱れんしょうぼううつのみやよりつな岳父がくふだから、信生法師しんしょうほうしは宇都宮の一族の上
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
彼は即座に、酒店の老爺ろうやから、筆とすずりを借りうけ、離縁状を書いて、岳父がくふにあずけた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)