岐蘇きそ)” の例文
同じやうに内地の交通がひらけ、わたしの郷里に當る岐蘇きそ山道のひらけたのもまたあの萬葉時代であつたと考へて見ることも樂しい。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この恵那峡は木曾川の中流である中津川駅のそばから大井町に至る水程三里の間にあって、岐蘇きそ渓谷中の最勝の奇景であるといわれている。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
岐蘇きそ太郎、栄次郎という二人の男子があって、次男の栄次郎は異才といわれる腕をもっていた。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
岐蘇きその猿酒は以前信州の俳友より到来して呑みたるが、こは深山の木のまた、節穴などの中に猿秋の木実を拾い取り運び置きたるが、雨露のしずくに熟し腐るを山賤見出して持ち返り
妻籠つまご通り過ぐれば三日の間寸時も離れず馴れむつびし岐蘇きそ河に別れ行く。何となく名残惜まれて若し水の色だに見えやせんと木の間/\を覗きつゝ辿れば馬籠まごめ峠の麓に来る。馬を尋ぬれども居らず。
かけはしの記 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
斎藤拙堂の「岐蘇きそ川を下るの記」に曰く
日本ライン (新字旧仮名) / 北原白秋(著)