山女衒やまぜげん)” の例文
姉のお定は三五郎という山女衒やまぜげん——やはり判人はんにんで、主に地方の貸座敷へ娼妓しょうぎを売込む周旋をするのだとか申します。
蜘蛛の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
つけろ。それから如才じょさいもあるめえが、亀吉とでも相談して、新宿あたりの山女衒やまぜげんをあさってみろ。このごろ宿場の玉を売り込みに行った奴があるかも知れねえ
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その晩すぐ近所の山女衒やまぜげんを呼んで来て、潮来いたこへ年一杯四十両ということに話がきまりました。
半七捕物帳:02 石灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
昔はこういう悪い奴が随分ありました。もうひと足おそいと、お直はどこかの山女衒やまぜげんの手に渡されて、たとい取り返すにしても面倒でしたが、いい塩梅あんばいにすぐに取り返してしまいました
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鍋久へは堅気の風をして来たそうだが、そいつは高輪たかなわ北町きたまちで草履屋をしている半介という奴らしい。表向きには草履屋だが、ほんとうの商売は山女衒やまぜげんで、ふだんから評判のよくねえ野郎だ。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
詮議の手のゆるまないおそれがあるので、山女衒やまぜげんの半介、これも花鳥の識っている奴ですから、その半介を語らって、例の品川の夜釣りの怪談をこしらえて、形見の片袖を鍋久に持ち込ませました。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)