山中やまじゅう)” の例文
はだかった胸と、あらわになった両脚を吹く涼しい風を感じながら、遠く近くからまばらに聞こえて来るツクツク法師の声に耳を傾けていた。山中やまじゅうの静けさがヒシヒシと身にみ透るのを感じていた。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
重太郎はお葉の跡を追って、これも東西のきらい無しに山中やまじゅうを駈け廻ったが、容易に女を捉え得なかった。嶮岨けんそに馴れたる彼は、飛ぶが如くに駈歩かけあるいて、一旦はふもとまで降ったが又思い直して引返ひっかえした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何分きょうは山中やまじゅう