とがむ)” の例文
今は疑ふべくもあらず、彼はまさしく人目を避けんと為るなり。すなはち人を懼るるなり。故は、自らとがむるなり。彼は果して何者ならん、と貫一はいよいよ深く怪みぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
又想ふに、彼は決して自らとがむるところなど有るに非ずして、だそのせい多羞シャイなるが故のみか、未だ知るべからず。この二者ふたつさきのをも取り難く、さすがに後のにもうなづきかねて、彼は又あらた打惑うちまどへり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)