少壮としわか)” の例文
西は少壮としわかな官吏であった。この人は、未だ大学へ入らない前から、三吉と往来して、中村という友達などと共に若々しい思想かんがえ取換とりかわした間柄である。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
葬式の日は、親類一同、小さな棺の周囲まわりに集った。三吉が往時むかし書生をしていた家の直樹も来た。この子息むすことっくに中学を卒業して、最早少壮としわかな会社員であった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
相変らず温厚で、勤勉なのは、この少壮としわかな会社員だ。シッカリとした老祖母おばあさんが附いているだけに、親譲りの夏羽織などを着て、一寸訪ねて来るにも服装みなりくずさなかった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
少壮としわかな官吏と、少壮な記者とは、三吉に別れを告げて、乗客も少ない二等室の戸を開けて入った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
実が一度失敗した為に、長い留守を引受けたのも彼が少壮としわかな時からで、その間幾多の艱難かんなんを通り越した。ある時は死んでも足りないと思われる程、心の暗い時すらあった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
子安が着いて見ると案外心やすい、少壮としわかな学者だ。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)