小市こいち)” の例文
ただ小荷駄の直江大和守は北国街道を北進して犀川を小市こいちわたしにて渡り善光寺へと退却せしめた。甘粕隊は遠く南方小森に於て妻女山から来るべき敵に備えた。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
裏に居た女衒ぜげん小市こいちという男を存じて居りましたから、これへ参ってはなしをいたして見ましょう
語の起こりはイツキメ(斎女)であったろうが、また一の巫女みこなどとも書いて最も主神に近接する者の意味に解し、母と子とともにあるときは、その子の名を小市こいちともまた市太郎とも伝えていた。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
其の打人うちてたゝき役小市こいちと云う人が上手です。此の人のつのは痛くって身体に障らんように打ちますが、刺青ほりもののある者はうしても強そうに見えるからひどく打ちまして、弱そうな者は柔かにちます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)