小刀ちいさがたな)” の例文
けれどもその時分はマダ双刀だいしょうさなければならぬ時であるから、私の父の挟して居た小刀ちいさがたなすなわ𧘕𧘔かみしもを着るとき挟す脇差のさやを少し長くして刀に仕立て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
余りにそのきたるがごとく、目に微笑をさえ含んで、澄まし返った小憎こにくらしさに、藩主が扇子をもってポンと一つ頭を打つや、さっと立って、据腰すえごしに、やにわに小刀ちいさがたなに手を掛けて
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と長助が小刀ちいさがたなをすらりと引抜いた時に、驚いて丹治が前へ膝行すさり出まして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鉄無地の衣裳に利休茶の十徳、小刀ちいさがたなを前半に帯び端然と膝に手を置いている。肉体枯れて骨立っていたがそれがかえって脱俗して見え、云うに云われぬ威厳があった。部屋には老人一人しかいない。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)