寂果さびは)” の例文
彼は多くのげかかったやしろと、寂果さびはてた寺を見尽して、色のめた歴史の上に、黒い頭を振り向ける勇気を失いかけた。寝耄ねぼけた昔に彽徊ていかいするほど、彼の気分は枯れていなかったのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)