寂光院じゃっこういん)” の例文
これも一種の諷語ふうごであるからだ。マクベスの門番は山寺のカッポレと全然同格である。マクベスの門番が解けたら寂光院じゃっこういんの美人も解けるはずだ。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女院がそういわれるままに、適当な場所を物色していると、寂光院じゃっこういんというところをすすめる者があった。
今晩はドチラへ、はい、大原の寂光院じゃっこういんに美しい尼さんがいると聞いたから、それを訪ねてみたいのです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
浩さんは松樹山しょうじゅざん塹壕ざんごうからまだあがって来ないがその紀念の遺髪ははるかの海を渡って駒込の寂光院じゃっこういんに埋葬された。ここへ行って御参りをしてきようと西片町にしかたまち吾家わがやを出る。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のみならず、元来が寂光院じゃっこういん事件の説明がこの篇の骨子だから、ようやくの事ここまで筆が運んで来て、もういいと安心したら、急にがっかりして書き続ける元気がなくなった。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)