宿夢しゅくむ)” の例文
薄霧うすぎり北の山の根に消えやらず、柿の実撒砂まきすなにかちりと音して宿夢しゅくむ拭うがごとくにさめたり。しばらくの別れを握手に告ぐる妻がびんおくに風ゆらぎて蚊帳かやの裾ゆら/\と秋も早や立つめり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)