実悪ジツアク)” の例文
男性のすつきりしたと言ふ美其物の様な人なのですから、在来の実悪ジツアク色悪イロアクなど言ふ役処には、理想的形と気分とを具へた人でありませう。
芝居に出た名残星月夜 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
カネる」と言つた芸風の人ではあつたが、芸の素質はさして広い人とは言へなかつた。「立役」はしても「実悪ジツアク」を兼ることは絶対になかつた。
芝居の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
彼は実悪ジツアク、即、立敵タテガタキに位すべき人で、幸四郎の時代、又は王代ワウダイにおける立敵としての最後の人であるのに対して、唯一人延若があつて、世話・御家物オイヘモノ敵として、残るものと言ふべきであらう。
実川延若讃 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)