宙釣ちゅうづ)” の例文
おそろしい宙釣ちゅうづりとなった。ぱたぱたと板のように硬い風が、丁坊のほほをなぐる。そして身体はゴムまりのようにゆれる。いまはさすがの丁坊も生きた心持がない。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
浪の音がやや高くなって、中天に冴えて来た月光を含む水煙がほの白く立ちめかかった湖面に一そうの船の影が宙釣ちゅうづりのように浮び出して来た。の音が聞えるから夢ではない。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)