存在もの)” の例文
それどころか世にはこんな珍しい存在ものがあるのか、と云ったぼんやりした感嘆が房子の空虚うつろな瞳には少しづつ浮んで来た。
五月 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
したがって「五蘊は空」だということは、つまり、世間にある一切の存在ものはみんな空だということになるのであります。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
幽かな音に対しても木精こだまを返すに過ぎないのであって、そうしてこの鸚鵡蔵も、それと同一なのであったが、無智の山国の人達には、怪異ふしぎ存在ものに思われているのであった。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なんでもない顔のあかや、着物の襟などを注意すると喜ぶくせに、肝腎かんじんの心の病気を注意するとおこられるとは、全く人間というものは、ほんとうに変な存在ものです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
いやすべては互いに裏となり表となり、かげとなり、ひなたとなって生かし、生かされつつある貴い存在ものなのです。まことに、「つまらぬというは小さき智慧袋」です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)