字劃じかく)” の例文
その黒へもって行って寒白い空閑を抜いて浮出す拓本の字劃じかくというものは少年の鼈四郎にとってまたあまりに寂しいものであった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
困ったことには、もう二三ヵ月前から女の子の名前だけは幾つも用意して、字劃じかくをしらべたり、姓名判断をしたりしていたが、男の赤ん坊の名前だけは何の持ち合せもなかった。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
字劃じかくや点を平気で増減していて、青年期へ入ったばかりの年齢の現代の若ものに有り勝ちな、漢字に対する無頓着むとんちゃくさを現わしていたが、しかし、あわれに幼稚なところもあった。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)