孔雀長屋くじゃくながや)” の例文
その影が、おはぐろどぶのドンドン橋を左に越えて、九尺二間の軒と軒とがはさみ合っている孔雀長屋くじゃくながや路次ろじへションボリ消える。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お紺はよんどころなく商売をやめて、そこらを流れ渡っているうちに、吉原の或る女郎屋の妓夫ぎゆうと一緒になって、よし原の堤下どてした孔雀長屋くじゃくながやに世帯を持つことになった。
半七捕物帳:23 鬼娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私は、吉原の孔雀長屋くじゃくながやにいる者ですが、お綱さんの親父さんが大門口おおもんぐちで喧嘩をして対手あいての侍に斬られました。え、昨日の朝の出来事なんで……。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よかろう、ではこのことを、他言たごんするような不人情者は、この孔雀長屋くじゃくながやからお構いだぞ。——というので
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)