嬋娟あでやか)” の例文
をんなの徳をさへかでこの嬋娟あでやかに生れ得て、しかもこの富めるにへる、天のめぐみと世のさちとをあはけて、残るかた無き果報のかくもいみじき人もあるものか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
すると嬋娟あでやか盛粧せいそうしたお延が澄ましてそこに坐っていた。津田ははっと思った。寝起ねおきの顔へ水をかけられたような夫の様子に満足したらしい彼女は微笑をらした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかもその顔の素晴らしさ! 美しいというよりも嬋娟あでやかというよりも、ただ希臘の彫刻からでも脱け出してきた気高さ清らかさ繊細さそのものというほかには、何と言い現すべき言葉もなかった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
その嬋娟あでやかな姿に見とれ茫然ぼんやりいたして親方に小言をいわれていた。