嬉遊きゆう)” の例文
おびただしい序曲やドイツ舞曲やセレナーデや、嬉遊きゆう曲の中から、最も優れたものをいくつか挙げてみる。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
例へばちょうといへば翩々へんぺんたる小羽虫しょううちゅうの飛び去り飛び来る一個の小景を現はすのみならず、春暖ようやく催し草木わずかに萌芽ほうがを放ち菜黄さいこう麦緑ばくりょくの間に三々五々士女の嬉遊きゆうするが如き光景をも聯想せしむるなり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そのほか前にもいった如く、人々の生活その物が自然に接触していて、われらは常にその中に嬉遊きゆうしているような感じがするのであります。われらは四時の変化に富んだ自然界に住む民族であります。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
と両親は波間に嬉遊きゆうする人魚の大群を眺め乍ら歩き出した。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)