いづくん)” の例文
あに明治の思想界を形容すべき絶好の辞にあらずや。優々閑々たる幕府時代の文学史を修めて明治の文学史に入る者いづくんぞ目眩し心悸しんきせざるを得んや。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
尋常世態の瑣事さじいづくんぞよく高踏派の詩人を動さむ。されどこれを倫理の方面より観むか、人生に対するこの派の態度、これより学ばむとする教訓はこの一言に現はる。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
後来海警屡〻至るに及んで天下の人心俄然がぜんとして覚め、尊皇攘夷の声四海にあまねかりしもの、いづくんぞ知らん彼が教訓の結果に非るを。嗚呼あゝ是れ頼襄の事業也。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
たとひ美を論じ高を説くも其人にして美を愛し、高を愛するに非んば何ぞ一顧を価せんや。自ら得る所なくしてみだりに人の言を借る、彼れの議論いづくんぞ光焔あり精采あるを得んや。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
猶之が為に殺さると、の宗教の名を以て、世に行はるゝ虚礼、空文はいづくんぞ基督教の獅身虫にあらざらんや、それ藩籬は以て侵叛を防げども之が為に其室内の玲瓏れいろうさへぎるべし、世の所謂神学なるもの