天津テンシン)” の例文
「僕、今月中に北支へ行きまんねん。実は妹が天津テンシンのダンスホールに出てましたら、軍部に見込まれてスパイになりましてん。———」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私は天津テンシンの日本租界、敷島町の或るレストランに近頃日本の少女が青磁の衣服をつけてそれでなくとも感傷的になった旅人の私の心を瞑想的にするのに会ったことがある。
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
外交官の夫の転任する度に、上海シャンハイだの北京ペキンだの天津テンシンだのへ一時の住いを移しながら、不相変あいかわらず達雄を思っているのです。勿論もう震災の頃には大勢おおぜいの子もちになっているのですよ。
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
貧しい白系ロシア人の家族が天津テンシンで下宿屋をやって、日支事変の波の中に様々の経験を経てゆく物語ですが登場するイギリス人、支那人、日本人の生活を静かな公平な眼で見ていて
これを要するに我より外国に乗り出ださざるの大弊にて今日これを改めんことを欲す。西洋においては露・英・仏・米・蘭の五国、漢土にては天津テンシン上海シャンハイ広東カントンの三港に日本商館を設け建つべし。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)