しかし、怪異が気になるので大般若経だいはんにゃきょうなどを読んでもらったりしているうちに、これも病気になって歿くなったので秋山家も断絶した。
四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
のみならず、金堂こんどうの深くから、今日も大般若経だいはんにゃきょうの転読の声がながれていた……。公綱はあやしみながら、秋ノ坊から別当職の者を呼び出して
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いよいよ怒った山門の衆徒達は、今は、唯、憎い関白を、祈り殺せとばかり、七社の神輿を、根本中堂こんぽんちゅうどうに振上げて、その前で七日間、大般若経だいはんにゃきょうを読み続けた。
白鞍しろくら置いた馬、白覆輪しろふくりんの太刀、それに鎧一領をえ、徒者数人に曳き持たせ、正成は天王寺へ参詣し、大般若経だいはんにゃきょう転読てんどくの布施として献じ、髯の白い老いた長老に会い、正成不肖の身をもって
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大般若経だいはんにゃきょうだの漢籍みたいな物ばかり持って来たのじゃ、色気がなさ過ぎて、仏法弘通ぶっぽうぐつうの方便でないと考えたにちがいないさ
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後白河院の後楯うしろだてがあるものの、どうも形勢不利とみて、この上は、天の助けにすがるよりほかはないと思い立った成親は、男山おとこやま石清水八幡宮いわしみずはちまんぐうに、百人の坊主を頼んで、七日間、大般若経だいはんにゃきょう
天王寺の金堂こんどうでは、大般若経だいはんにゃきょう転読てんどくがながれていた。この日、正成は先ごろの戦勝のお礼に、二頭の神馬と、白覆輪しろふくりんの太刀などを寺中へ納めていたのである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)