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大引
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おおび
すこしおそいが、
大引け過ぎのこぼれを拾いに、
吉原へでもかせぎに行こうと、今し
本所のほうから、吾妻橋の袂へさしかかっていた一
梃の辻駕籠。
音「心配しなますな、何うか
私が才覚をしようから待って居てくんなまし、
大引け過までには何うかして見ましょう」
仲の
町も
水道尻に近い、
蔦屋という引手茶屋で。間も無く
大引けの
鉄棒が廻ろうという時分であった。
伊之助は其の晩また松葉屋へ
登りましたが、一旦喧嘩をして出た跡ゆえ、
向でも容易には帰しませんから遅くなり、遂に
大引け過ぎまで居りましたから、伊之助不図気が附き