大師流だいしりゅう)” の例文
「なんだ……池さまへ、藤より……。大師流だいしりゅうのいい手蹟だ。こいつ文づかいもすると見える。とても陸尺なんぞの書ける字じゃねえ」
先のななめに減ったつえを振り廻しながら寂光院と大師流だいしりゅうに古い紺青こんじょうで彫りつけた額をながめて門を這入はいると、精舎しょうじゃは格別なもので門内は蕭条しょうじょうとして一塵のあとめぬほど掃除が行き届いている。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)