大城たいじょう)” の例文
「まるで五六歳の子供だ」と重太夫は望月吉太夫に囁いた、「江戸で大城たいじょうへあがっても、片刻として眼を放せません、まことにしんの病めることです」
若き日の摂津守 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
江戸の大城たいじょう炎上のとき幼君を守護して紅葉山もみじやま立退たちのき、周囲に枯草の繁りたるを見て非常の最中不用心ぶようじんなりとて、みずから腰の一刀をぬいてその草を切払きりはら
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
まず江戸大城たいじょうに近く、外桜田そとさくらだ弁慶堀べんけいぼりより大名屋敷の白壁打続くかすみせきの傾斜は広重の好んで描きし地点なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「いちどは、さきの陸奥守むつのかみ逼塞ひっそくのお沙汰のあったとき、次は亀千代家督の礼に、献上の使者を勤めたとき、前後二度、大城たいじょうにおいて、おめどおり致しました」