多度たど)” の例文
水銀みずかねを商ふ旅人 五位殿だか何だか知らないが、あの人が急に弓矢を捨てて、出家してしまつたものだから、多度たどでは大変な騒ぎだつたよ。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
中仙道は鵜沼うぬま駅を麓とした翠巒すいらんの層に続いて西へとつらなるのは多度たどの山脈である。鈴鹿すずかかすかに、伊吹いぶきは未だに吹きあげる風雲のいのしし色にそのいただきを吹き乱されている。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
鋳物師いものし おや、あれは多度たどの五位殿ぢやないか?
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)