とっく)” の例文
『万葉秀歌』はもうとっくについていなければならないのに、うちにゴロゴロしていて本当に御免下さい。
初め此方こっちが世話になったのは、とっくに恩は返している。何倍此方が尽しているか知れやしない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
昔はく変死が有っても屏風びょうぶを立てゝ置いて、お頭が来て屏風のそとで「遺言を」なんどゝ申しますが、もう当人はとっくに死んでいるから遺言も何も有りようはずはございません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
尤も平常ふだんから聞いて知っている長田の遊び振りでは或はとっくにお宮という女のいることは知っているんだが、長田のこととてつい何でもなく通り過ぎて了ったのかとも思っていた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)