夕栄ゆうば)” の例文
旧字:夕榮
……畑中の並木が紫に烟り、昼間は藍色あいいろに見えていた遠くの山々が、今は夕栄ゆうばえの光りを受けてほとんど淡紅色と云い得るまでに淡く薄い色になってゆく。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
しかしその視線を横眼でジッと見返した彼女の全身には、私の冷笑と闘うべく、あらん限りの妖艶さが一時に夕栄ゆうばえのように燃え上って来たかのように見えた。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
丁度、幾条かの夕栄ゆうばえが複合した建物の頂上から流れていた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)