壒嚢抄あいのうしょう)” の例文
さらに遡って室町時代の「壒嚢抄あいのうしょう」には、「河原者をエツタといふ」とある。また鎌倉時代の「塵袋」には、「キヨメをエタといふ」ともある。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
天武紀九年の詔の利国家を「アメノシタニカガアラシメ」と訓み、その他『壒嚢抄あいのうしょう』、『類聚名義抄るいじゅみょうぎしょう』等にも、利の字をカガという例が多い。「宍戸ししど」という謡曲には
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
『和名鈔』の時代には曾比そび、それが『壒嚢抄あいのうしょう』には少微しょうびとなり、近世に入っては少鬢しょうびんともなったが、なお播磨はりまでは将人しょうにん伯耆ほうき出雲いずもでは初人しょにん備前びぜん美作みまさかでは初爾しょにといって
壒嚢抄あいのうしょう』に「元三のお薬温むたたらなどは世の始めの物なりしが云々」とあり(和訓栞)、肥前北部で陶器がまに用いる一種のまきを今でもタタラギという(佐賀県方言辞典)。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)