墓守はかもり)” の例文
ところで、順慶が何故に秀次一族の墓守はかもりとなったかはこれから後に説くであろうが、「聞書」に依れば彼は盲人であったのである。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「何を言うのだ。親子の間で。……それよりも、そなたは、どうして、ここへ来たのか。まさか、亡き五百之進殿の墓守はかもりをしていたわけではあるまいが」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕方になって、小径こみちの砂の上に人の足音がした。墓守はかもりが通りかかって、そこにすわってるクリストフをながめた。クリストフはだれが花を手向たむけたのかと尋ねた。
範頼のりより墓守はかもりの作ったと云う菊を分けて貰って来たのはそれからよほどのちの事である。墓守は鉢に植えた菊を貸して上げようかと云ったそうである。この墓守の顔も見たかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すなわち墓守はかもりで、後世に云えば隠坊おんぼうの類です。
彼は粕谷かすや墓守はかもりである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)