堆高うづたか)” の例文
青物あをものもやはり奧へゆけばゆくほど堆高うづたかく積まれてゐる。——實際あそこの人參葉の美しさなどは素晴しかつた。それから水に漬けてある豆だとか慈姑くわゐだとか。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
棺は間もなく墓と定めた場処へ移されたので、そこには掘起された『のつぺい』(土の名)が堆高うづたかく盛上げられ、咲残る野菊の花も土足に踏散らされてあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私は寢臺に近よつて、とばりを開けると堆高うづたかく重つた枕の上に身をかゞめた。
すぐいて上り、見れば枕元には本棚から抜きだした本が堆高うづたかく積み重ねられてあり、おまけにその頂上にきちんと畳んだ寝巻をのせ、その寝巻の上へ床の間の菊の花と鉛筆と蜜柑みかんが置かれてあつた。
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)