埃溜ごみため)” の例文
埃溜ごみための山を登つて、破れた竹垣の根に近寄ると、成る程、お葉の茶屋の奧座敷、四疊半の一と間が、眼の前に展開するのです。
彼女が安心して歩き出すと、隣の家の勝手口に置いてあった大きな埃溜ごみための蔭からニョッキリ立上った男があった。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「行つて搜して來ませうか。土瓶の中には煎藥せんやくがあつたやうですから、埃溜ごみためにでも捨ててあるかもわかりません」
「坊っちゃんがてられた菓子だって言うから、裏の埃溜ごみためへ捨ててしまっただよ。誰が喰っても悪かんべい」
お勝手から裏へ出ると、浅い釣瓶つるべ井戸があって、物置があって、その裏に埃溜ごみためがありますが、どんなに念入りに捜したところで、菓子のかけらも見付かることではありません。
「とにかく、お勘坊の部屋と、埃溜ごみためを明るいうちに、もう一度見せて下さい」
五月二十八日の川開きが昨夜ゆうべ済んだばかり、朝の浜町河岸は埃溜ごみためを引っくり返したようですが、その中に何かしら事件の匂いを嗅ぐともなく、人の顔ばかりを見て歩いて来た八五郎だったのです。
物置も、縁の下も、埃溜ごみための中も——。