垂死すいし)” の例文
僕はその新聞記者が近く渡米するのを口実にし、垂死すいしの僕の父を残したまま、築地の或待合へ出かけて行った。
点鬼簿 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、その姿に眼をやると、彼女の顔は不思議にも、眉目びもくの形こそ変らないが、垂死すいしの老婆と同じ事であった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
垂死すいしの母を見て来た癖に、もう内心ははしゃいでいる彼自身の軽薄を憎みながら、………
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)