垂下たれさ)” の例文
特に黒い喪服を着け黒いしゃを長く垂下たれさげて歩く婦人の多くなったことを取りたてて言うまでもなく、二人はそれを町で行き逢ういかなる人の姿にも読むことが出来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さし上げた腕の間から皆めいめいに上向うはむきの頭がみえる。海藻かいさう地衣こけがこの浮標うき垂下たれさがつてゐる。東から吹く風に、この髮の毛がふくらんで、おのづと拍子をとつて波動してゐる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)