四布よの)” の例文
それから例のツクツク(裏は赤き羊毛、表は厚き帆木綿のごとき切布にて製したる四布よの蒲団のごときものにて目方はおよそ三貫目位のもの)
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
損「なりますとも、一晩ひとばん四布よのが五銭に、三布布団みのぶとんが三銭、しめ八銭、三八さんぱ二円四十銭しじっせんが二ヶ月で四円八十銭に成りますわねえ」
母親は畳んでいた重い四布よのとんをそこへ積みあげると、こッちを振りかえって、以前より一層肉のついたお庄の顔を眺めた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あすこいら一帯に、袖のない夜具だから、四布よのの綿の厚いのがごつごつおもたくって、肩がぞくぞくする。枕許まくらもと熱燗あつかんを貰って、硝子盃酒コップざけいきおいで、それでもぐっすり疲れて寝た。さあ何時頃だったろう。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お庄は押入れの行李のなかに残っていたものを、萌黄もえぎ唐草からくさ模様の四布よの風呂敷に包んで、近所からやとって来た俥に積み、自分もそれに乗って、晩方中村の邸を出た。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)