嗜眠しみん)” の例文
すると、あとは嗜眠しみん症患者のように眠り続ける。京子は昨夜あたりから、またそうなりかかって居る。眠くて眠くて堪らないのだ。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「おれかね。おれは江戸の者だが、おめえはやはり山の衆かい」と、答えると相手は俄かに嗜眠しみん状態の神経をゆりさまして
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「衰弱が加わって、嗜眠しみん状態に陥っておいでなさる」とパイーシイ神父はアリョーシャを祝福した後、小声で彼に伝えた。
嗜眠しみん性脳炎がまた流行はやっているので、一寸風邪を引いても医者に見せなくちゃならないし、五十円や百円の仕送りでは人間らしい気持ちで勉強は出来やしない……
食物を取ると、敬助は急に嗜眠しみんを覚えた。そしていつのまにか力無い眠りに陥っていった。
蘇生 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「今のとこ、さっき君のいった嗜眠しみん性脳炎の問題をがんがんせめられてんだがね」
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ものうく自分の指紋をしらべたり、ほそい腕をさらさらと臆病そうに撫でさすって見たりするほか、うとうとと少しばかりの嗜眠しみんのあいだをさまようたり、またぽっかり目をさましたりしていた。
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)