喧嘩でいり)” の例文
「痛い! 痛い! おししが十万石なら、この痛さは百万石じゃ。——のう、成田屋。昼間の喧嘩でいりも女がもとらしいが、そち、あの女を見たか」
賭場の喧嘩でいりで長脇差を喰らったらしいやくざ者など、そういった物凄い手傷者ておいが、世をはばかり気に爪さき上り、山へ、この阿弥陀沢へ、と志すのだった。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おお舞鶴じゃねえか。こんな所へ出張って来て、大そう仰山ぎょうさんな支度、何か喧嘩でいりでもあったのか」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おいらも若い時馬鹿してやくざの飯をちっと食った。そんなことで今も八丁徳さんと懇意なのだが。(声を落して力を入れ)今度、八丁徳さんと聖権さんと喧嘩でいりになった。
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
どうも至ってやくざな身性みしょうで、故郷くにの清河県でちょっとした喧嘩でいりをやり、そのため、草鞋わらじをはいて、ここの大旦那のご庇護ひごにあずかり、もう故郷のほとぼりも冷めた頃なので
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)