商人体しょうにんてい)” の例文
私の乗った方には、二重マワシを着た長顔の鬚の白い老人と、黒羅紗くろらしゃの筒袖の外套を着た三十恰好の商人体しょうにんていの男とが乗っていた。
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
そう云って立ち上ったのは、商人体しょうにんていの四十近くの男だった。一座はにわかにザワめいて、ドヤドヤと少女の周囲に馳けよった。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
行き詰まって金の鯱の鱗を剥がす策略をめぐらしているのか、それとも一区で五銭払うのは馬鹿とろくさいと考えているのか、僕には一寸判断がつき兼ねた。ところへ停留場で又一人の商人体しょうにんていが乗り込んだ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「前では賑かだな。」と私とならんでいた商人体しょうにんていの男がつぶやいた。老人もハハハハと大きい口を開けて笑った。私もつい微笑せずにはいられなかった。
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
とお父さんは隣席の商人体しょうにんていと話を始めた。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)