哀傷あいしょう)” の例文
詩を書いていた時分に対する回想は、未練から哀傷あいしょうとなり、哀傷から自嘲じちょうとなった。人の詩を読む興味もまったく失われた。
弓町より (新字新仮名) / 石川啄木(著)
雀のお宿の素峰子そほうしは、自ら行乞子こうきつしと称している。かつては書店の主人であったが、愛妻の病没により、哀傷あいしょうの極は発願ほつがんして、ふるって無一物の真の清貧に富もうと努めた。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)