咆吼ほうこう)” の例文
カークも、大湿林の咆吼ほうこうをよぶ狂風を感じはするが……、死をして、不侵地悪魔の尿溜をきわめようなどとは、夢にもさらさら思わないことだった。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「うわゥ、うわゥ」と奇妙な声で咆吼ほうこうしながら、首を振り腰をひねって、しきりに前庭を遊曳ゆうえいする様子。
咆吼ほうこうする左膳、棕櫚しゅろぼうきのような髪が頬の刀痕にかぶさるのを、頭を振ってゆすりあげながら、一つしかない眼を憎悪に燃やして足もとのお藤をにらみすえた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ちぇっ、こんちくしょう!」と彼は片手をひと振りして咆吼ほうこうしたが、そのはずみに、もう飲んでしまった茶のコップののっている小さな円テーブルをなぐりつけた。
突然一匹の土佐犬が、一声高く咆吼ほうこうした。壁に向かって飛び掛かった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そしてその聖なる善なるなつかしいもの、進歩を、彼らは我を忘れて極端まで駆られ、恐ろしき姿をし、半ば裸体で、手に棍棒こんぼうをつかみ、口からは咆吼ほうこうの声をほとばしらして、要求していたのである。
その夜、はじめて夜明けまえにライオンの咆吼ほうこうを聴いた。藪地のなかで、豹にやられるらしい小野豚センズの声もした。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
猛獣の群は塔を見上げ、ウオーッ、ウオーッと咆吼ほうこうした。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
猛獣は咆吼ほうこうした。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)