周章あわただ)” の例文
最所治部の龍の口城へ、ある日一人の若侍が、父だと云う老人を連れて、さも周章あわただしく駈け込んで来た。手足から鮮血なまちを流している。
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
坂口は霎時の間、闇の中に棒立になっていたが、次の瞬間に伯父は、北に向って走っている小径を、周章あわただしく歩去った。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「ア、山木さん、御立腹では恐れ入りまする」と、牧師は周章あわただしく剛造をなだめ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
主膳は周章あわただしく帰りました。主膳が帰ってのあとは竜之助が一人でありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうするとボーイは周章あわただしく両脚をキッチリ膝へ着け、前方へ曲げて受け取った、で僕は女だと確信した
広東葱 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と見ると旅館から出てきた二人の男女が周章あわただしく、出口に待っている自動車の中へ入っていった。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「かかる深夜に周章あわただしい! 大勢走ってどこへおいでなさる!」
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして周章あわただしく改札口を出るなり、三人連の後を追った。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)