)” の例文
弥八 ふんどし担ぎめ、豪儀ごうぎそうな口をくない。さあ野郎、俺と一緒に利根川沿とねがわべりへこい、二、三番揉んだ揚句、川の中へ飛び込ませてやる。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
内田君がもぐもぐと口をく度に、沸々と泡立つコップの中で、その迪子がニタニタとくずおれるように嗤うのである。
古傷 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
もはや口をく元気もなくなって、遂に道端の天水桶の下へ屈んでしまったのだった。
曲亭馬琴 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
黒吉は、口をこうとする度に、心臓が、どきどきと咽喉元に押上って来て、妨げられた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
お松 いくらあたしだって、真逆まさかあの無法者の前じゃ、迂闊に口をきやしませんよ。お蔦さんのいい草じゃないが、体をやくざに持扱もちあつかってしまっても、まだこれで命は惜しいや。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
おせんは「はッ」とむねまって、ぐにはくちけなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
然しそうして少しの後、口がけるようになると直ぐ乾からびた声で
息を止める男 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
筋市 位牌が口でもきやしめえし、そんな物はいらねえ。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
と、いってやろうとしたが、彼には、もう口がけなかった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
彼は、少しずつ口がけるようになった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)