吩付いひつ)” の例文
五十分の授業の間を教室の隅に立たして置くなどは珍しくもない事で、三日に一度は、罰として放課後の教室の掃除当番を吩付いひつける。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ああ、それは私の為事しごとの一つでしたわねえ。貴方に吩付いひつけられた。」女は居住まひを直して男の真向まむきになつた。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
母は、医者の所へは、一番最後にゆつくりと出掛けて行つて、その時はお礼の品も持つて行くのだと吩付いひつけた。『ええ』、とは云つたものの医者の顔をジツクリと思ひ浮べてみるのであつた。
亡弟 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
「ああ、それは私の爲事しごとの一つでしたわねえ。貴方に吩付いひつけられた。」女は居住まひを直して男の眞向まむきになつた。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
『それだつてなす、毎日悪い事許りして千早先生に御迷惑かける様なんだハンテ、よくお聞き申して置いて、後でわだしもよツく吩付いひつけて置くべと思つてす。』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
生きて行くことが出来る丈の手当すら与へないで、仕事は一人前を吩付いひつけると云ふのは、隙さへあつたらぬすみでもかたりでもして命をつなげと云ふにひとしいとも云ひ得る。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)