古法衣ふるごろも)” の例文
朽葉の古法衣ふるごろもに、そこらで付けた鉋屑かんなくずをそのまま、いよいよこの東国の土と人間とを、その姿のうちに渾然こんぜんと一つのものにして無造作に歩いてきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その容子ようすをぢろぢろ眺めながら、古法衣ふるごろもの袖をかきつくろつて、無愛想なおとがひをそらせてゐる、背の低い僧形そうぎやう惟然坊ゐねんばうで、これは色の浅黒い、剛愎がうふくさうな支考しかうと肩をならべて、木節の向うに坐つてゐた。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし、誰のたずさえていた物か、真っ赤な古法衣ふるごろもを頭からかぶせられて、その上からぐるぐる荒縄で縛られたのには、さすがの吉次もどうなる事かと胆を冷やした。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)