口少くちずく)” の例文
口少くちずくなにしとやかによく気をつけて、貞世の欲する事をあらかじめ知り抜いているような岡の看護ぶりは、通り一ぺんな看護婦の働きぶりとはまるでくらべものにならなかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
愛子はすすけた障子しょうじの陰で手回りの荷物を取り出して案配あんばいした。口少くちずくなの愛子は姉を慰めるような言葉も出さなかった。外部が騒々そうぞうしいだけに部屋の中はなおさらひっそりと思われた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)