口吟くちづさ)” の例文
いつも艶子が口吟くちづさむで居るロセツチといふ詩人の「燕」の唄や、ブレワーといふ人の「小さきものよ」などゝといふ可愛らしい唄もそれらの中のものでした。
駒鳥の胸 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
彼はその土橋を渡らうともせずに、「三径就荒さんけいくわうについて」と口吟くちづさみたいこの家を、思ひやり深さうにしばらく眺めた。
口吟くちづさみつゝ、月光の隈なく照り添ふてゐる露台に、両の腕を軽く胸のあたりに組み合せて「春はあけぼの、やう/\白うなりゆく」微風の如くに、そよろと忍び出たのは
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)