口入屋くちいれや)” の例文
その日の夕方、風間光枝はすっかり仕度をととのえ、口入屋くちいれやの番頭に化けた帆村に伴われて、問題のお屋敷の裏門をくぐった。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今から考えると、それは芸妓げいしゃ娼妓しょうぎの世話をする、つまり人身売買業ともいうべき口入屋くちいれやだったのである。年増女はじろじろと私の顔をながめた。
二階はどうなっているか知らないが、わたしの記憶しているところでは、一度も東向きの窓を明けたことはなかった。北隣りには雇人の口入屋くちいれやがあった。
ゆず湯 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女中をやとうというので、宿屋の達見のお上さんが口入屋くちいれやの上さんをよこしてくれた。石田は婆あさんを置きたいという注文をした。時という五十ばかりの婆あさんが来た。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
口入屋くちいれやが千葉のもので、その千葉から口入屋のおやじと乳母とその母親とが、今日明日のうちに上京してくるということだったが、返電さえも来ないので、牴牾もどかしかった。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
二階はどうなっているか知らないが、わたしの記憶しているところでは、一度も東向きの窓を明けたことはなかった。北隣りには雇い人の口入屋くちいれやがあった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)