受納うけい)” の例文
好いものでありさえすれば仮令たとえいかなる人の有っているものでも、それを受納うけいれるに躊躇ちゅうちょしなかったほど、それほど心のかわいていた捨吉は
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鑑賞の時、どうしても意味を一つにめなければならぬとせば、やはり女が男にむかって云った言葉として受納うけいれる方がいいのではあるまいか。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それだから此歌でも、現代の読者にまでそう予備的な心構えがなくも受納うけいれられ、く単純な内容のうちに純粋な詠歎のこえを聞くことが出来るのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あだかも成熟した樹木の生命いのちを胸一ぱいに自分の身に受納うけいれようとするかのように。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
結句を推量とするか、希望とするか、鑑賞者はこの二つの説を受納うけいれて、相比較しつつ味うこともまた可能である。そしていずれが歌として優るかを判断すべきである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
醤油しょうゆのことをムラサキという。もちのことをオカチンという。雪隠せっちんのことをハバカリという。そういうことを私は素直に受納うけいれて今後東京弁を心掛けようと努めたのであった。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)