卑劣きたな)” の例文
仮令たとへ木匠こだくみの道は小なるにせよ其に一心の誠を委ね生命を懸けて、慾も大概あらましは忘れ卑劣きたなおもひも起さず、唯只鑿をもつては能く穿らんことを思ひ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
よしや惜しむとも惜しみて甲斐なくとどめて止まらねど、たとえば木匠こだくみの道は小なるにせよそれに一心の誠をゆだ生命いのちをかけて、欲も大概あらましは忘れ卑劣きたなおもいも起さず
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
卑劣きたな返報かえしはすまいなれど源太がはげしい意趣返報がえしは、する時なさでおくべきか、酸くなるほどに今までは口もきいたがもうきかぬ、一旦思い捨つる上は口きくほどの未練ももたぬ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
見るに足らぬと其方で思はば汝が手筋も知れてある、大方高の知れた塔建たぬ前から眼にうつつて気の毒ながら批難なんもある、既堪忍の緒も断れたり、卑劣きたな返報かへしは為まいなれど源太が烈しい意趣返報は
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)